本邦では社交不安症（社会不安障害）に対して、3種類のSSRIが保険適応を持っています。
ルボックス/デプロメール（フルボキサミン）、パキシル（パロキセチン）、レクサプロ（エスシタロプラム）です。
いずれの薬も、社交不安症に一定の効果を持っていますが、今回はレクサプロの有効例を提示致します。
----------
----------
社交不安症の症例
S さんは24歳の女性です。今、とても前向きに生きています。
もともと人付き合いが苦手だったS さんは、高校2年の時に社交不安の症状がひどくなり、高校を中退します。
大検は取ったものの長く家に引きこもっていたS さんですが、両親の励ましもあり、一念発起して心療内科を受診し、カウンセリングにも毎週通いました。
心療内科の主治医から、なぜかレクサプロを20mg処方され、S さんは激しい副作用に苦しみました。
「レクサプロを飲み始めてからの毎日は、私にとっては恐ろしいものでした。
2週間の間、絶え間なく続くめまいがありました。それまでは軽いうつ状態に過ぎなかったのが、自殺願望を抱くまでになったのです。以前には決して死にたいなどと思ったことはありません。
私はなぜか20mgから始めましたが、医師は薬を減らしませんでした。もし、自殺願望を持った人がレクサプロを始めたら、この薬は彼らを破滅に追いやると、私は確信します、疑いはありません。
医師は、この薬の怖さを知るべきです。漸減することを覚えるべきです。レクサプロには、漸減のために5mg、2.5mgの錠剤が必要だと思います。」
初期の苦しい期間を乗り越えたS さんは、レクサプロの効果を感じるようになり、世界が変わったと言います。
「私にはもう、社交不安症はありません。レクサプロが大きく貢献してくれたことは間違いありません。」
「レクサプロを始める前は、私には何もありませんでした。高校は中退していたし、家に引きこもっていたし、車の免許もなかったし、一切合切、何もありませんでした。社交不安症のために、障害者になっていました。」
「レクサプロを始めて6か月以内に、すべてが変わっていきました。大学に入学し、車の免許を取りました。今では正社員として仕事にもついています」
「じゃ、これはすべてレクサプロのおかげでしょうか。絶対に違います。毎週カウンセリングに通ったし、大学入学後すぐに、自分自身を強制的に学生自治会に所属させました（カウンセラーの勧めです）。
レクサプロであれ他の薬であれ、薬だけで社交不安症が治るとは思いません。」
「レクサプロを飲むことで、確かに社会的な状況に直面することが出来るようになりました。カウンセラーの言う、曝露が可能になりました。
そして、レクサプロでなく、曝露こそが私の社交不安症を急速に解消したのです。」
「私は、今はレクサプロをのんでいません。終了して1か月になります。」
「1か月の間、鮮明で恐怖に満ちた悪夢と、恐ろしい離脱症状に苦しみました。」
「そして今は、全人生の中で、一番良いと思える精神状態にあると感じています。」