複雑性PTSDとは

2020年7月24日金曜日

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PTSDは心的外傷を引き起こす出来事、例えば激しい交通事故、地震や津波、レイプなどを経験した人に生じる不安障害の一つです。通常は一つの出来事に関連付けられます。

一方、より長い期間、繰り返される心的外傷性の出来事に晒された人には、複雑性PTSDが生じる可能性があります。
心的外傷性の出来事が連続して起こる場合や、一つの外傷性出来事が延々と続く場合です。

PTSDの症状は、扁桃体や海馬、前頭前野といった感情、記憶、理性に関わる脳の領域の変化によってもたらされます。
複雑性PTSDの症状も、同様のメカニズムによると思われますが、より持続的で強い傾向があります。

複雑性PTSDをもたらす心的外傷で多いものは、長期にわたる身体的、精神的、性的虐待です。具体的には、小児期のネグレクト、家族による虐待、人身売買、戦争捕虜などです。
(現状、DSM-5は複雑性PTSDを独立した障害として認めていません。一方、ICD-11は複雑性PTSDをPTSDとは別の障害として区別しています。)

複雑性PTSDと境界性パーソナリティ障害の関連性も注目され、複雑性PTSDが境界性パーソナリティ障害と診断されている可能性や、両者のオーバーラップが相当多いという指摘もあります。
しかしながら、複雑性PTSDの人が一貫して否定的な自己像を持つのに対して、境界性パーソナリティ障害の人が持つ自己像は不安定で変化しやすいという違いがあります。

境界性パーソナリティ障害の人が、持続的な心的外傷を経験して複雑性PTSDを併せ持つという可能性は十分あります。

さて治療ですが、難治性です。治療は困難を極めると思いますが、一般的には
精神療法(認知行動療法を中心とする)、EMDR、投薬(プロザック–本邦未発売、パキシル、ジェイゾロフト)などが用いられています。
いわゆる神田橋処方が有効であるという研究者もいます。


(追記)
神田橋処方:桂枝加芍薬湯+四物湯

PTSDの適応でFDAが承認した薬はセルトラリンとパロキセチンの2剤

投薬期間は少なくとも8~12週必要。最大効果は36週後に得られるという研究もある。

悪夢にプラゾシンが有効という報告がある。

パラノイア、激しい恐怖、爆発的怒、などを有する人には非定型精神病薬の有効性が示されている。

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